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index≫銀輪旅日記
 

① 小学校を卒業するころ、父から、青色の大人用の自転車をもらった。早速遠出し、初めての景色の中で迷子になった。夕闇に浮かぶ黄金色の田んぼ。その向こうに、神社のお祭りの青いのぼりが立っていた。心細さとともに思い出に残った。
 十四年前、自転車メーカーの営業マンが私の店に現れた。商談を断られた、のっぽでやさしそうな彼。「試乗用の自転車があります」と小声で言った。少しかわいそう。私の初めてのロードレーサーになった。青色の自転車の思い出を探そうと思いついた。
 だが見つからない。家が立て込んだのか、記憶があいまいなのか。田んぼを埋め、道路が整備されることへの反発もあり、いつか旧道をたどり始めた。車と並走する緊張感を維持できない年になったからでもあろう。
 そのうち集落の違いが見えてきた。宿場町や門前町、漁村や山村という言葉も実感できた。集落の共通点も見つけた。郵便局がある場所は昔のにぎわいの中心だ。神社は集落の外れに多く、そばには川や峠。「病気や悪人は入らせない」と神様が遮ってくれている。昔が香ってくる。
 旧道は緩やかに登り、下る。牛や馬が歩いた道だから。おしゃれな新興住宅地から少し下ると、お地蔵さんが並ぶ辻堂があったりする。新旧の時間をくし刺しにする。
 歴史を突き抜け、自転車は走る。走っていれば、いつか青色の自転車の景色が現れるに違いない。

(広島県自転車競技連盟前理事長・サイクルフォーラム代表=広島市)
 
旅を自転車で旅することが、こんなに楽しいとは!と思ってました。が、中国新聞の緑地帯へ寄稿することになって、伝えることがこんなに苦しいのか!と思いました。つたない文章が記者のみなんさんの校正で、日の目をみることになりましたが、まだドキドキしてます。
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